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一般社団法人日本染色協会

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日本の防抜染技術は世界的に独特の技術
コモの捺染は抜染に特長がある

世界各国のオートフラット捺染技術と手捺染は、ハードウェアも捺染技術も違いがあることを前回で説明した。そのことをテキスタイルを取扱うアパレル、商社、小売店の商品企画者に知ってほしい。

各国捺染で利用技術の違いを説明すると、世界的に直接捺染方法が多い。そのことはロータリースクリーン捺染機を使用の場合でも同じことを指摘できる。

防抜染方法、着色抜染法を実施する国の捺染工場は世界的に少数である。

イタリアの捺染は抜染技術が多い、日本は友禅技術にヒントを得て、防染技術を基礎にした捺染技法が多い。

イタリア・コモの抜染技術はシルク捺染を主流に発展したので、シルクを糸染め後に織物にして、捺染する過程で抜染する技法を発展させた。

つまり布に染料固着した状態から染料を抜染する方法がコモの特長となった。

日本の防染加工は防染した布地上に挿し色する防抜染加工をオートフラット、ロータリースクリーン捺染で進歩させた。すなわちAの色柄中にBの色を挿し色するときに抜染せずに、防染技術を援用して挿し色する独特の技法を確立した。これが日本の捺染の特長である。

アジアではインドネシア、中国等ではオートフラット、ロータリースクリーン捺染機を用いて、直接捺染方法を実施する捺染工場が多い。

最近、インドネシアの捺染工場でポリエステル繊維布の捺染加工で、直接捺染方法で一見すると着色抜染をしたかのごとき捺染技術を確立しようと努力中の工場がある。

これをプロがじっと見ると直接捺染方法だと見破れるという。

これからは技術の高度化が日本の捺染工場の生きる道だという声が多い。それら工場にオーダーする業者の方々も日本は優れた捺染技術を持っていることを見直してほしいものである。

※ 以上、説明した捺染技法の違いについて、更に具体的にお知りになりたい方もあろうと思うので、現在の各国捺染での技法にはその歴史的な技法の蓄積が今日にも色濃く表れていることについて、以下、説明したい。

いずれの国においても捺染法の基本はオーバープリントであるが、ジャワ更紗の如く表裏を一体として使用する場合においては臈纈(ロウケチ)染め、いわゆるローケツ染めの場合は捺染と言うより無地染めに近い感覚である。絞り染めもその部類であろう。

白地に絵柄をプリントするのは一般的オーバープリントであるが。白地でなく色地にプリントする場合に、淡い色の地色では上から染め付ける色(差し色と言う)は地色の影響を受けないが、濃い地色では差し色と地色が混合されて目的の色が得られなくなる。紙の印刷の場合は、インクが紙に吸着され固定するが、布地では毛管現象で染料液が移動する。これを防ぐために、隣接する差し色がひっつかないように、微細な空間を設ける。

しかしこの空間があると地色が濃色の場合は地色と差し色の間に白地が見えて良い捺染品が出来ない。空間を取らずに地色と差し色が対峙させるには、オーバープリントでは至難の業となる。オーバープリント方式でない2つの方法が用いられる、一つは差し色の中に地の色を破壊させる薬剤を混入し、蒸熱等で地色を破壊させ、差し色を染め付ける(抜染法)。もう一方の方法は、差し色を先にプリントし、差し色に後から着色させる地色が混ざらないように、物理的又は化学的な方法を用いる方法(防染法)。物理的方法は、差し色に地色を吸着させる物質や逆にはじく物質をいれる。

化学的な方法は抜染法と同様に差し色に後から染める染料を破壊する物質を入れる方法が採られる。なお地染めだけでなく、差し色と差し色で互いに色がにじみ込まないように部分的に防染方式が用いられる事もある。日本での地染めは友禅方式では基本的に差し色を絵付けした後に、引き染めという方式で全面に色糊を掛ける方式で行う防染法が主体となっている。

一方ヨーロッパ方式は、布地を均一に染色する方法は難しく、糸の状態で染色し、無地染織物を作成したのちに抜染法で差し色をプリントする方法が主に採られている。

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